箱型の成形 PPとウッドプラスチックコンポジット


弊社は金型製作から成形までお受けすることが多く、試作品で形状の確認や機能確認をすることが多々あります。

成形時に起こりうる問題は参考書からも学べますが、経験によって蓄積することも大切。

ということで、箱型の成形時に起こりうる問題を調べる金型を作り、ゲートの種類、材質や成形条件によってどのような差があるのかをテストしました。

箱型形状、サイドゲート1点




開口部のソリが確認できるよう高さは全高さ23.52mm(内壁22mm)



今回は箱型形状の成形品で

①PP
②PP+ウッドプラスチックコンポジット

の二種類で成形しました。

ウッドプラスチックコンポジット


ウッドプラスコンポジットの使用は弊社でも初めてで、試作する前から楽しみにしていました。

異なる配合量で色味や硬さを確認



配合量を変えると、色の濃さが変わります。
一番左は配合量も多めですが、成形機の加熱等温度を200℃まで上げたため、やけ色がついてしまいました。

成形した感触としては

・背圧を高め(今回は3Mpa⇒10Mpa)にした方が均一にフィラーが充填される
・加熱筒の温度は、180℃以下が望ましく、滞留時間も少なめにする
・射出圧力、スピードは通常のPPより高めの設定が必要だが、スピード高めだとガス焼けが出やすい。

箱型形状で最も多い問題として、「ソリ」があげられます。
今回はソリにどのような影響が出るのかも確かめなした。
ソリの発生比較のため、金型の冷却はをしていません。

通常のPP

側壁面に定規をあて、ソリによる隙間を確認

開口部にソリが発生し、内側に湾曲しています。
測定してみると

通常のPPで隙間測定

隙間は1.49mmとかなり隙間が生じています。


PP+ウッドプラスチックコンポジット

側壁面に定規をあて、ソリによる隙間を確認

開口部にソリが発生し、内側に湾曲していますが通常のPPよりも湾曲は少なくみえます。
測定してみると


PP+ウッドプラスチックコンポジット

結果は
①PP
1.49mm

②PP+ウッドプラスチックコンポジット
1.06mm

ウッドプラスチックコンポジットは
ソリの対策にも効果があることが分かりました。

機械的性質に関しては、非破壊検査などをしていなので正確には分かりませんが、押したり切断した感触としては、通常のPPよりも強度も高いような感触です。

テスト成形した感想としては
想像していたよりも成形性は良く、機能性向上も期待できそうです。

とはいえ、起こりうる問題を材料の選定や成形条件でコントロールするだけでなく、製品設計の段階で、解決策を考えた製品構造を考えられると良いですね。




おまけ
写真では伝わらない情報を。


成形品はほんのり木の香りです。



杉山耕治